ビターに愛して シュガーな恋心
「私…話しをしてみようかな」

「うんうん、その調子!
さあ、桃香ちゃん…お化粧よ!」

貴美恵さんは私に背を向けて、桃香さんの顔のお手入れを始めた

私は携帯を開き、メールを打った

『タイトル:家にいるよ
家にきて…マンションの入口で待ってる』

藤城君からすぐに返事がきた

『タイトル:すぐに行く
5分で着くから』

5分って…ちょっと無理じゃない?

今は授業中でしょ?

教室からマンションまで、歩いても15分はかかるよ?

「私、少し、出てきます」

「うん、いってらっしゃーい」

貴美恵さんがひらひらと手を振ってくれた

桃香さんも振り返ると、笑みを送ってくれた

「莉子ちゃん、藤城君と一緒に来るの待ってるね」

「ありがとう…桃香お姉さん」

私は二人に背を向けると、靴を履いて家を後にした
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