ビターに愛して シュガーな恋心
「兄さんっ!」

藤城君が目を丸くした

「竜之介もいたのか」

車から降りてきた男性は、黒縁の眼鏡を押し上げると私を見た

「君が、莉子ちゃんか
初めまして
竜之介の……兄? 叔父? の藤城竜也です」

「え?」

私は思わず聞き返してしまった

「兄さん、面倒だから『兄』でいいよ」

「じゃあ、竜之介の兄です」

藤城さんは手を差し出してきた

私も前に出して、握手をした

声も藤城君によく似ている

低くて、心地よい響きがする

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