ビターに愛して シュガーな恋心
「それはどうでしょうね
なんとも言えません
僕はいつかは結婚しないといけませんから
藤城の家を継ぐ者として」

「そんなの無視よ」

「兄さんが無視しましたから、僕に逃げ道はありません」

「あ…あの男なら無視しそうね」

貴美恵さんの顔つきがまたきびしくなる

兄さん、貴美恵さんに何をしたのだろう

莉子がすっと僕の手を握ってきた

僕が、貴美恵さんから莉子に視線を動かした

莉子はさびしそうな眼をしていた

「どうしたの?」

「だって…」

「藤城家は厳しい家だよ」

僕の太ももに振動を感じた

電話?

僕はポケットから携帯を出した

『藤城 竜也』

液晶には、兄さんの名前が表示されていた

え?

兄さんから?


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