ビターに愛して シュガーな恋心
エントランスを出て、マンションの入り口である花壇の淵に僕は腰を下ろした

入口がここ一か所だけ

高層マンションだから、どっかの壁をよじ登っていくのは…そう簡単にはできない

全くできないとは言わないけど

なんの装備もない人間が登るは難しい

命を落とすだけだ

そんなリスクを負わないだろう

たぶん…ね

どんな人間か知らないけど

ここから入ってくる確率が高い

僕は携帯を出すと、もう一度、兄さんから送られてきたメールの写真を確認した

もともとある写真を、写メで撮ったから

若干写りが悪い

頬の部分が光が反射して見にくいけど、べつに差し障りはない

僕は携帯をポケットにしまうと、傘を肩の上にぽんと置いた

さあ…おいでよ

僕は暴れたいよ

僕を楽しませてくれ


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