ビターに愛して シュガーな恋心
「なんだ…お前は」

「僕? 僕はただ手に刃物を持っている人が嫌いなだけ」

僕は一真の右手に目をやった

血のついている包丁が握られている

小山内先輩の血…かな?

僕は花壇の淵から腰をあげると、傘を構えたまま一真の前に立ちはだかった

「ふん、小山内君の手下か」

「やめてよ
僕は手下なんかじゃない
言っただろ?
刃物を凶器に使う人間が大嫌いなんだ
それと
常軌を逸した目も大嫌いだ」

僕は口を緩めて微笑んだ

この世で一番大嫌いな男と重なった

僕の産みの父親

大嫌いだ

こいつは父親と同じ臭いがする

人殺しの臭い

異常な愛を押し付ける臭いが…僕の鼻を捻じ曲げそうだ



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