ビターに愛して シュガーな恋心
「私も君みたいな正義感に燃えている男は嫌いだよ」

一真が包丁をぎゅっと握りしめて、胸の前に持ってきた

「傘で何ができる?
私は刃物だ
人間の肉も切り裂ける包丁だ」

「そうだね
でもすでにそれで人を刺している

切れ味は最初に比べて数段に落ちている
それで僕を一刺しで殺すことはできない

人の体についている油が、刃物について
切れ味を悪くしているんだ

それに刃こぼれもしている
知ってた?

日本刀だって続けて三人の人間を斬ったら…もうその刃は使い物にならないんだ」

「だから何だ?」

「まだわからないの?
勝算は僕にあるってことだよ」

傘を侮らないでよ

使う人間によって、凶器になりえる存在なんだよ

僕にとっては、血がついている包丁なんかより魅力的な武器だよ

「どこからでもかかっておいで」

僕は頭を振って、挑発をした


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