ビターに愛して シュガーな恋心
「んじゃ、ちゃんと送り届けたでぇ
ほな、さいなら」

久我さんがひらひらと手のひらを振った

「久我さん、今日の勤務は?」

藤城君が久我さんに話しかけた

「ん? 今日は泊り明け勤務や
このまま、帰るで」

「そう…じゃ、僕も乗せて行ってよ」

「え?」

莉子ちゃんが驚いた顔をする

あたしも…ちょっとびっくりした

このまま、莉子ちゃんとパーティ終了までいると思ったから

「藤城君?」

あたしは首を横にかしげて、声をかけた

「すみません
今日はもう帰ります」

藤城君は腰から折って、深く頭を下げた

「なんや…どうしたん?」

久我さんも不思議そうな声をあげた

「ちょっと…用事を思い出したから」

「…ほんなら、乗っていきな」

「はい
莉子、また明日ね」

「藤城君?」

「ごめん…ちょっと、今は……
ホントにごめん」

藤城君はぎこちない笑顔を見せると、背を向けて久我さんよりも先にマンションを出ていった

藤城君…どうしたんだろう?

なんか

すごく思いつめた顔をしていた気がする

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