ビターに愛して シュガーな恋心
「愛子ちゃん、泣くで」

「わかってます」

胸の奥が、ざわつく

滝沢 愛子

祖父が決めて、許婚だ

幼いころからずっと言われ続けてきた

でもなんか、違う

彼女を好きになることは僕にはない

藤城家に嫁ぐために、幼いころから、藤城流の生活に慣れてきた

愛子は良い子だが、それだけ

なんの感情もない

抱きたいとも思わない

莉子は違う

すぐに目で、莉子の姿を追っている

莉子がいないと、安心しない

莉子に触れないと、落ち着かない

莉子の笑顔が見たい

莉子の近くにいたい

莉子は僕の心を掴んで離さない

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