ビターに愛して シュガーな恋心
「莉子」

藤城君と目が合った

なんで?

そっと見て、そっと帰るんじゃないの?

なんで藤城君に……

「藤城君」

私は、苦笑をして頭を下げた

「竜ちゃん、誰?」

和服姿の女性が、私の顔を見てにっこりとほほ笑んだ

綺麗な人だ

小柄で、綺麗で…和服がすごく似合ってる

アップの髪から、零れ落ちている髪が、なんとも色っぽい

声も、艶があって、女の私でもセクシーな声でゾクゾクする

「あ…私は、藤城君のクラスメートで…小山内莉子と申します
藤城君の忘れ物を届けに…」

なんでだろう?

どうして張り合おうとは思わなかったのか

私自身、不思議に思った

どう見ても、藤城君とこの和服の女性は許婚同士だろう

私は、一応…藤城君の彼女

だけど…この女性の目を見ていると、勝てない…そんな気持ちさせられた

「莉子さんって仰るの
私は滝沢愛子です
よろしくね」

愛子さんは、藤城君の隣に立つと爽やかに微笑んだ


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