ビターに愛して シュガーな恋心
「ママはなんて?」

勇人さんは、にっこりと笑うとさびしい目をして視線を動かした

「とくに何も」

嘘…何か、あったんでしょ?

「たぶん、そのせいだと俺は思うんだ
おの日、俺が説明しに行ってなければ…桃香の母は死ななかった、と思う
悪かったな…俺は、桃香の家庭や環境を壊してばかりだ」

勇人さんは立ち上がると、あたしに頭を下げた

え?

「勇人さんのせいじゃないから…謝らないでください
あたしのほうが…勇人さんに迷惑ばかりおかけして
謝るのは私のほうです
お腹の怪我…とか」

勇人さんの手が、お腹を押さえた

傷口を服の上から確認したのだろう

父親が、勇人さんを刺した

真実を話しに行った勇人さんを…なんて失礼な父親なのだろう

勇人さんにお金をもらおうと考えたり…するなんて

最悪な父親だ

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