ビターに愛して シュガーな恋心
「竜ちゃん!」

「何?」

「どうしちゃたの?」

「どうしもしないけど」

僕はほほ笑む

愛子は苛々して、親指の爪を噛み始めた

「愛子、爪!」

僕の言葉に、愛子ははっとして指を唇から離した

「昔の癖…なおってないんだね」

「べ…べつに、竜ちゃんがいけないんでしょ」

「そうだね
僕が…いけないんだね」

僕が、愛子を苛つかせるから

愛子が情緒不安定になって、落ち着かせるために爪をかじる

僕が、莉子を求めてしまうように

愛子は、不安定になると爪をかじって、ぼろぼろにする



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