ビターに愛して シュガーな恋心
藤城君が?

謝ったの?

「ごめんなさい」

「そうよね…謝るしかないわよね
だって、私から将来を奪ったのよ?
でも私は絶対に竜ちゃんと結婚をするわ
お祖父様が貴方を許すとは思えないもの
私はずっと、藤城家の嫁になるように育てられて来たの
竜ちゃんの妻になるために、ずっと…ずっとよ?
それを横から出てきて、奪わないでよ」

妻になるために、育てられた…って

「愛子さんはそれで良かったんですか?」

「え?」

私の質問に、愛子さんが目を丸くした

「疑問には思わなかったのですか?
ただ妻になるための道具じゃないですか…それって
藤城君との間に恋愛感情があったのですか?」

愛子さんの視線が泳いだ

「れんあい…かんじょ、う?」

愛子さんがぼそっと同じ言葉を繰り返した

「私たちのような世界に、恋とか愛とかって必要?
互いの利益になれば…契約のために結婚をするものでしょ?
滝沢家はもう…火の車よ
名前しか、家柄しかないような貧乏な家なの」

愛子さんが唇を噛んだ

「…って貴方に言っても仕方ないわね」


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