ビターに愛して シュガーな恋心
「…で、なんで桃香は泣いてるの?」

勇人さんは靴を脱いで、貴美恵さんの家にあがるとあたしの頬をそっと触った

「だって…勇人さんがいるから…」

「あ? 俺のせいか?」

「ちが…でも…
黙ってて…怒られるかもとか…嫌われるかも…とか考えて
だけどウエディングドレス姿も見て欲しくて

見たら…入籍のことを話さなくちゃだから…」

ふっと勇人さんが笑うと、あたしの頭を撫でてくれた

あたしは勇人さんの胸に顔を埋めると、わっと泣き出してしまった

「…たく
どいつもこいつも…下手なんだよ」

「え?」

「俺に内緒にしておくなら…もっと慎重にやれよな」

「え?」

「怒ってないよ
桃香、手…出してよ」

あたしは、鼻をすすると右手を差し出した

「そっちじゃねえだろ」

「へ?」

「指輪だよ
ペアリングじゃねえけど…とりあえずこれで我慢な」

勇人さんはあたしの左手を握ると、薬指にゴールドのリングを入れてくれた

指輪?

勇人さんから?

なんで?
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