ビターに愛して シュガーな恋心

「あのさ…これで僕に恩を売ったつもりにならないでよ」

教室に向かう廊下で、隣を歩いている藤城君に言われた

さっきまでのテンションはどこに行ったのだろうか？

落ち着いた口調だった

「恩？　何のことかしら？」

私、藤城君に恩を売ったつもりはないわ

私はどうやら、藤城君とは同じクラスみたい

生徒会の役員となる誓約書に署名するときに、藤城君のクラスを見た

私と同じクラス

ますます、監視しやすい状況となった

絶対に、桃香お姉さんを傷つけるような真似はさせない

「ふん、何も知らない籠の中のお嬢様？
それともそういう女を装っている腹黒い女？」

藤城君の口元が緩んだ

何かを企んでいるような…それでいて楽しい計画を立てている表情をしている

「さあ、腹黒いなんて初めて言われました」

私はにっこりと笑った