ビターに愛して シュガーな恋心
「い…一体、何だったの?」

あたしはテーブルに手をついたまま、固まっていた身体を動かし始めた

ああいう人は初めてで、どう接していいかわからない

何を考えているのか

さっぱりわからなくて、ちょっと苦手かも

何をされても、怒らず笑顔が崩れないって怖い

勇人さんのように感情を出してもらったほうが…いい、かも

苛々されるのは、もちろん嫌だよ?

でも心を隠されまま、会話をするのも嫌だよ

克波君がいてくれて良かったよ

一人だったら、きっと…藤城君に襲われていた気がする

好きでもない人に抱かれるなんて…もうしたくない

今度こそ、好きな人と…って思いたいよ

「はあ、めんどくせえ奴だったな」

皺だらけになった書類に、克波君が手でアイロンをかけた

克波君の左の薬指には、シルバーの指輪が光っている

克波君の18歳の誕生日とともに、小花さんと籍をいれたのだ

きらりと光る指輪が、克波君を大人の男に見せた

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