ビターに愛して シュガーな恋心
午後6時半
あたしは紫桜学院の正門を通り過ぎた

外はまだ明るい

夏の照りつける暑さ…まではいかないけどれど、今日は6月にしては蒸し暑い日だった

夏服になったばかりの制服は、まだ防虫剤の臭いが微かにした

あー、なんか今日は疲れた……気がする

藤城君の乱入に、頭がパニックになっちゃったよ

いきなりエッチしよ…なんて言う人は初めてで、どう接していいかわからない

何の前触れもなく、襲ってくる男の人なら…一人知ってるけど

告白をしてから、襲ってくるの男の人は初めて目にしたよ

克波君がいて、本当に良かった

「せ・ん・ぱ・い」

背後から男の甘い声が、聞こえてきた

あたしの背筋に寒気が走る

ゆっくりと振り替えると、色白の顔の藤城君が立っている

「ひぃっ」

あたしの顔が引きつった

身体の筋肉が固まる

どう…しよう……

克波君は、小花さんと帰るって大学棟のほうに行ってしまったし…勇人さんは研究室によってくるって言ってたから

たぶん

今夜は帰りが遅いはず

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