ビターに愛して シュガーな恋心
「藤城は…桃香のことも抱こうとしたのか?」

「ううん、フリだけ
克波君がいる前では、抱きつくふりをしてる
誰か止めてくれる人がいないところでは何もしてこない
それに『ある人のため』って言ってた」

「そうか…ならいいんだ」

勇人さんが小さな声で答えた

「莉子ちゃん、自分が汚れてるって言ってた
汚れてて、これ以上汚れようがないから…藤城君に何をされても…って」

「なんだと?」

勇人さんが低い声になった

「もしかして…中学校のとこに何かあったんじゃないかな?って思ったの
だから高校は紫桜学院に通いたいって固くなに言い張ったんじゃないかって…」

「わかった
ちょっと調べてみる」

「え?」

「大丈夫だ
悪どいことはしない……はずだ」

勇人さんがニヤリと笑った


「話しを聞いてもらって、心が落ち着いた」

勇人さんが立ち上がった

「風邪ひくなよ」

勇人さんはほほ笑むと、部屋に向かう

あたしも、寝ようっと…


けどすぐに引き返して、あたしの前に立った

「俺の部屋で寝ろ
俺がここで寝る」

「え? でも…」

「いいんだよ」


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