ビターに愛して シュガーな恋心
「あの…あたしはメイドであって…家の主人は勇人さんです」

「その俺が、部屋を使えって言ってるんだから、使えばいいだろ?」

そうじゃなくて…

勇人さんがあたしの髪に触れた

もう寝ようと思ってたから、二つに結っているゴムをすでに解いていた

癖の強い髪が、勇人さんの長い指に絡みつく

染めていないのに、まるで染めているかのように明るい茶色の髪

先生に注意されるたびに、説明するのが嫌だった

「家の主がこんなところで寝るなんて…」

勇人さんが腰を落として、指に絡みついたあたしの髪に口づけをした

え?

勇人さん?

どうしてそんなことをしているの?

「俺が良いって言ってるだろ」

「でも」

「それともここで二人で寝るか?」

「え?」

勇人さん?

なに?

何かあったの?

勇人さんの指が、
あたしの前髪を掻きあげた

おでこに、勇人さんに吐息がかかる

え?

やだっ…額はダメ!



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