ビターに愛して シュガーな恋心
「莉子」

私の身体がびくっとなる

兄様の低い声って、心臓に悪い

「お…起きてたの?」

私はゆっくりと兄様に振りかえった

「いや…今、目が覚めた」

兄様が椅子から立ち上がると、私の前に立つ

兄様の寝起きの顔を見るなんて、初めてだ

いつもびしっと整えている兄様しか見たことがない

若干、寝ぐせのある兄様も…格好いい

と、思っちゃうのは、私がブラコンだからかな?

「昨日は悪かったな
叩くつもりはなかった」

「ううん、私がいけなかったから」

私は笑顔をつくる

たぶん、ぎごちない笑みになっていたと思う

家族に叩かれるなんて、初めてでそれなりにショックだったし…

「今後は藤城に何を言われても、振り回されるな
あいつの狙いは俺であって、お前や桃香じゃない」

「知ってる
理由までは知らないけど
兄様を怒らせたいだけ」

私はほほ笑んだ

藤城君、きっと現実を理解したいんだと思うの

兄様から、痛い思いをさせられて、現実を知りたいのよ

M体質だから

あの人……

S体質の兄様ときっと気が合うのよ



< 88 / 417 >

この作品をシェア

pagetop