ビターに愛して シュガーな恋心
「兄様は怖くないの?」

兄様が私から離れた

前を真っ直ぐに見つめている

「怖くないモノの方が多い
俺は人より恐怖心も強いし、疑心もある
だから他人より多くの情報を得て、安心に変えようとしている
ただ…それだけ、だ」

兄様がさびしそうにほほ笑んだ

「俺にとって本音を言える人間は片手で数えられるくらい少ない
他人から見たら、少ない数かもしれない
でも俺にとっては大切な人であり、絶対に守りたい人だ
俺に抱いている期待を絶対に裏切りたくない
だから
俺は常の心に問うんだ
間違ってないか
足りないものはないか?
見失っているモノはないか?
莉子も…大切な人間を見つけたら、自然とわかる
それまで自分を決して惨めにするな
前を向いて胸を張って生きてきたと言える人生を歩め」

兄様…

私と考え方が違う

私はなんて浅はかな考え方しかできなかったのだろう

兄様はずいぶんと前を歩いてる

手が届かないくらい、ずっとずっと前を歩いている

私も兄様にみたいに、大切な人が見つかるだろうか?

期待を裏切りたくないと、がんばれる人間になれるだろうか…


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