Be impatient
そんなワタナベさんの何が苦手なのかと言えば…

なんだろ?

これもやっぱり言葉にするのは難しい。

『合わない』の一言で片付けてしまえばそれで終わりなんだけど、それで終らせるのは寂しい事かもしれない。

もっと相手を見て、接して。

そうすれば、他の何かが見えてくるのかもしれないが…

それがなかなか簡単には行かないのも事実だ。

「ハラダさん、今日食事でもどう?」

そんな私の心の内など気付きもしないワタナベさん。

「えっと、ごめんなさい。今日はちょっと…」

曖昧な言葉でしか返さない私はなんて卑怯なんだろう。

食事に誘われても行く気がないのなら、はっきりと断わった方が良いはずなのに。

何度となく食事に誘ってもらってはそれをやんわりと断わる。

それでもワタナベさんは私を食事に誘う。



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