【短編】366日
私の眠りを邪魔したのは
早く出てくれといわんばかりに
何回も鳴るドアのベル
重たい体を起こして
私は下へ降りてドアを空けた
「はい……」
「思ったより元気そうでよかった」
学校がおわる時間にはまだ早い
「なにしに来たの?直哉」
私の目の前には佐々木直哉が立っていた
「え?何しにって、
美紀のお見舞いに来たんだよ」
「てか学校は?」
「見ての通り早退した」
こいつってつくづく馬鹿だよね
たかが風邪ぐらいでお見舞いに来るなんて
「馬鹿だね、あがってく?」
「馬鹿でいい。あがってく。」
なんでこいつを家に入れたんだろ?
馬鹿なのは、私だったのかもね。
「なに飲む?珈琲?紅茶?」
「あー、病人は寝てなきゃ!」
「いいよ、別に大したことないし」
「だーめっ!俺がいやなの!」
そんなん言われたら、
引き下がるしかないじゃん。
「……わかった」
直哉を入れたのは、
たぶん寂しかったから
楓と喧嘩して、私が悪いんだけど
親も家にいなくて、
この広い家に一人っていうのが
寂しかったから、
たぶん……絶対。
だから直哉を入れてしまったんだ。