【短編】366日

「ねぇ、直哉何で来たの？」

「そんなんさ、

寂しがってる彼女に会いたい

からにきまってんだろ。」

私にホットミルクを入れて、

彼はそういった。

「てか彼女じゃないし。

かってに決めないでよ。」

「そんなに怒んなよ」

別に怒ってるわけじゃない

「直哉、私あんたを好きになっとけば

よかったのにね。」

何言ってんだろ。

熱のせいなのか

本音なのか頭がボーっとして

わけわかんない。

「お前、なにいってるわけ？

結構きついんですけど。」

言わなかったらよかった。

いまそう後悔した。

「俺、平気そうに見えるか？

お前にも解るだろ？

好きな奴に振り向いてもらえんのに

そんなこと言われて、

平気なわけないだろ。」

直哉の言っていることが、

私の心に突き刺さる。

私は直哉が私に抱く感情を軽く見ていた。

でも、今本当に解った。

――私が楓に抱いている気持ちと同じなんだ

って。

「平気なわけないよ。

私、楓が好き。

一緒なんだよね直哉と」

好きなのに振り向いてくれなくて

その彼は別の人に夢中で私なんか

眼中になくて。

悲しいよ。

なんで私は素直になれないのかな？

なんで直哉みたいに『好き』って

たったこの二言がいえないのかな？