【短編】366日



あれからの記憶、

私たぶん熱がぶり返して

覚えてない。

なにがあったのかな?

楓、聞こえてたのかな?

私の気持ち貴方に届いたのかな?


不安になる。

「――楓」

部屋に入ってきた愛しい貴方。

「……はぁ〜。

お前ほんまわけわからん。」

なにが?なにがわかんないの

いきなり告白したから?

「お姉ちゃんが好きなら

それでもいいよ。

それでも私楓が好きだよ」



好きなんだよ。貴方が

「はぁ〜?

俺が美香を好き?

冗談やめろあんなおばはん」



……………?

「は?」

好きじゃないの?

しかもおばはんって。

「俺が美香好きとか

どこをどう見たらそうなるんや?」

「だって、好きなんでしょ?」

「違うわ!」

じゃあこの17年間私は

勘違いしてたってこと?

「意味わかんない」


「俺も一度しかいわへんぞ」


さっきまで興奮気味の楓が

冷静になって、私に言った


「……お前が好きや。」


そっと私の唇に触れるだけの

――――――キス。


「……楓、愛してる。

楓は?」

かぁっと赤くなる貴方。

そっぽを向いて貴方は言う。

「……俺も」



私、貴方に恋をしてよかった。



366日、貴方を想い

366日、貴方に恋をして

366日、貴方を愛した



―end―
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