君に逢えない
一年・ハル
春。


あたしはこの季節が
一番好き。


新しく通うことになった学校の廊下を歩きながら、大きく息を吸う。


気持ちいいなぁ…。


今なら廊下で寝ることが出来るかもしれない。



「田牧!何してんだ。こっちだぞ」



「あ、ごめん先生。ボーッとしちゃった」



アハハと笑いながら担任の桃瀬先生の元へ駆け寄る。

あたしのクラスは1-C…。



先生がガラリと勢いよく扉を開けた。



その後に続く。




「あー今日は転校生が来た。皆仲良くするんだぞー」




『ヒャッホーォィ!!!美人かな!?』




騒がしかった教室が再びうるさくなった。



美人て……。




「田牧。入ってきなさい」




「あ、はーい」




先生に呼ばれて、私は扉をくぐった。
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