恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~


すると、なぜだかあたしから目を逸らして、四つんばいになって床を雑巾で拭いているウエイトレスの黄ぃちゃんのほうを見るおにーちゃん。

「いや、ちょっと待て。やっぱオレ、そのバイトには反対させてもらうわ」

「え……なんで?」

「お前にメイド服は似合わねぇからだ」

サラリと言うおにーちゃん。その目はメイド風の制服を着た黄ぃちゃんのほうに向いたままだ。

「そんなことっ……実際、着てみないと分かんないよっ」

そう反論するあたしに向かって、このあとおにーちゃんは言ってはいけないことを言ってしまうことになる。


「ピンクは足ふてぇから、そんなふてぇ足をチラつかせながらカフェの中をウロチョロされたんじゃ、メシがマズくなるってんだ」


「ひっどォーいっ! たしかにあたしの足は太いけど、ヒトが気にしてることをハッキリ言わなくてもいーじゃん! 赤井氏のバカ! 豆腐の角にアタマぶつけて死んじゃえっ!」

さっき子供扱いされたときはこらえたけど、今の“足がふてぇ発言”にはガマンの限界。



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