恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
もともと運動神経バツグンだったおにーちゃんは、こともなげにクルリと逆上がりをしてみせる。

「お前もやってみ。今はオレしか見てねぇし、学校とちがって緊張しねぇで出来んだろ?」

たしかに緊張はしなかった。

それにおにーちゃんがいともたやすくやってるのを見て、なんか自分にだって出来るような自信が湧いてきてたし。

「いいか? まずはお前を泣かしたヤツに飛び蹴りを喰らわすイメージで、思いっきり地面を蹴り上げるんだ」

鉄棒を逆手で握り、おにーちゃんに言われたように憎ったらしいクラスの男子を蹴っ飛ばすつもりで、地面を思いっきり踏み切ってジャンプするあたし。


えいっ!


ムムムムムッ……


ウ~ン……


だけど、やっぱりお尻が重いのか、鉄棒にダラリとぶら下がり、逆さの体勢でお尻をおにーちゃんのほうに向けたまま、空中で足をバタバタさせてもがいてしまう。


「おにーちゃん、やっぱダメだよぅ……」

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