恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「え…!?」
「でも落胆しないで」
「どういう……ことですか?」
「あなたは、あなたにとって最愛の男性と、すでに出逢っていますから」
「最愛の男性とすでに出逢ってる……?」
思わず、彼女が言うのを繰り返していた。
「いつもあなたのそばにいる男性です。心当たりはありませんか? 例えるなら、あなたにとって兄のような方です」
「……って」
パッと、おにーちゃんの顔が頭に浮かぶ。
でも、おにーちゃんには相墨くんと付き合ってるってウソついたばっかだし……。
「あのぅ……身近にいる兄みたいなヒトとかじゃなくて、まったく新しい誰か別のヒトとの出逢いって本当にないんですか?」
「兄ではご不満かしら?」
「だって……」
「最高じゃないですか。わたしは好きなヒトの恋人よりも、むしろ妹になりたいわ」