恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「今まで見合いなんかしたことねぇけど、相手が仲見世小町のやまぶきちゃんなら、試しにやってみるのも悪かねぇな♪」
「…って!?」
あたしのココロの祈りは、おにーちゃんには届かなかった。
おにーちゃんがお見合いをする……。
なんで、こーいう展開になっちゃうワケ?
フリーになってたおにーちゃんが、もし今回のお見合いで大将の娘と付き合うことにでもなったりしたら……。
いや、付き合うどころか、話が進んで遂には結婚なんてことにでもなったりしたら、あたし、どうしたらいいのっ?
あたしはただ、おにーちゃんとおやっさんを再会させてあげたかっただけなのに、なんでこんなことになっちゃうワケっ!?
他人(ヒト)のために良かれと思って、してあげたことが、逆にアダとなって自分自身に返ってきてしまった。
やること、なすこと、いつもなぜか裏目に出てしまうわが身の不運を、呪いたいくらいの気持ちになるあたしだった―――――