恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「そーだ、その感覚を忘れるな。まずは怖がらずに思い切って地面を蹴り上げる。そしてヒジを脇にピッタリ付くようにグッと曲げてカラダを鉄棒にくっつける。そして足を頭の上に上げれば足の重みでカラダは自然に回るから、最後はユラユラしないように足をしっかり下に降り下ろすんだ」

「分かったァ♪」


そのあとも、つきっきりのマンツーマンで、おにーちゃんの補助を受けながら日が暮れるまで猛特訓を続けた。

おかげで次の体育の授業では、みんなの目の前で、地球の引力に逆らうようにクルリンと逆上がりをしているあたしがいた。

そのときの金太&銀次の“信じられない……”って感じに、あんぐりクチを開け唖然とした表情が今でもあたしは忘れられない。


ありがとう、おにーちゃん。

あなたはあたしが泣いてると、どこからともなく現れて、その手をグイと引っ張って、もう一度立ち上がる勇気をくれるヒト。

あたしにとってのおにーちゃんは小っちゃい頃から正義のヒーローそのもの。

今日だって遅刻しそうになってたあたしを自転車で学校まで送ってくれてるし。


「ねぇ♪」



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