恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
美人のやまぶきさんのことをおにーちゃんが気に入ったのは当然だとしても、やまぶきさんがおにーちゃんのどこを気に入ったのか最初は分からなかった。
おやっさんの話では、自分がおっとりしているから、少し強引なくらいにグイグイ引っ張ってくれるおにーちゃんが気に入ったんだそうだけど。
でも、こうなると結果的に“お見合いブチ壊し作戦”は大失敗だったってコトになる。
なんで? あたし、死ぬほど恥ずかしいのをガマンして、キャミ着たり、ミニスカまで履いて頑張ったのに……。
結局、あたしの頑張りはなんの意味もなかったってコト?
おしまいだァ……。
今度こそ本当におしまいだ。
あたしがおにーちゃんの許婚だっていう事実はある意味“特権”だ。
戦わずしてトーナメントの上位に立てる“シード権”みたいなもんだと思ってた。
なのにシード権があっても、やまぶきさんには勝てないなんて……。
もうこうなったらおにーちゃんのことは完全に諦めて、他のヒトを探したほうがいいのかもしれないと、あたしは思った―――――