恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「テ前ぇ、そーいうふうに謝って、頭下げときゃ、なんとかなるとでも思ってんじゃねぇのかっ」

「いえ、お客さま、決してそのようなことはっ……」

「あ~もぅっ、せっかく休みの日にカノジョと遊びに来たっていうのに、なんだよっ。なんなんだよっ、この気分の悪さはようっ。テ前ぇのせいだっ。全部テ前ぇのせいだっ。オイ、メイド、そこに土下座して謝れよっ」

「ど、土下座ですかっ……?」


たしかに順番まちがえたのは悪いと思うけど、そこまでしなくちゃいけないのかな!?

あたしが土下座を躊躇していると……、



「申し訳ありません、お客さまっ!!」



……と、あたしの足元で土下座をした黒服の男のヒトがひとり。

その背中は、まちがいなく紫苑さんの背中。


「なんだテ前ぇは!?」

「このカフェの責任者をやらせてもらっている者です」

土下座をしたままの紫苑さんが言う。

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