恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
でもね、それがイヤだからこそ、こんなぶっちゃうづらしてるんだよ、あたしは。
……と、そのとき、やまぶきさんのケータイの着メロが鳴った。
はじめて聞く着メロなのに、どうしてソレが彼女のものだと分かったかというと、クラシック音楽の着メロだったからだ。
あたしにクラシックの趣味はないし、ましてや芸術とは無縁なおにーちゃんの着メロであるはずがない。
つまり消去法でいくとやまぶきさんの着メロ以外には考えられないってことだ。
実際、あたしの推理は当たっていて、「ちょっと、ごめんなさい」と言って電話に出るやまぶきさん。
わずか30秒足らずで電話を切ると、おにーちゃんに向かって彼女が言う。
「わたし、用事で実家のほうに行かないといけなくなりましたから、英雄さんは桃ちゃんとゆっくり話してらしてください」
「いいです。あたし、別に話すこととかないし、もう帰りますから」
「わたしに遠慮なさらないで。では」
“では”のあとに「ごきげんよう」と言葉が続きそうなくらいに品の良い笑顔を見せて、ひとりで帰っていってしまうやまぶきさん。
……と、そのとき、やまぶきさんのケータイの着メロが鳴った。
はじめて聞く着メロなのに、どうしてソレが彼女のものだと分かったかというと、クラシック音楽の着メロだったからだ。
あたしにクラシックの趣味はないし、ましてや芸術とは無縁なおにーちゃんの着メロであるはずがない。
つまり消去法でいくとやまぶきさんの着メロ以外には考えられないってことだ。
実際、あたしの推理は当たっていて、「ちょっと、ごめんなさい」と言って電話に出るやまぶきさん。
わずか30秒足らずで電話を切ると、おにーちゃんに向かって彼女が言う。
「わたし、用事で実家のほうに行かないといけなくなりましたから、英雄さんは桃ちゃんとゆっくり話してらしてください」
「いいです。あたし、別に話すこととかないし、もう帰りますから」
「わたしに遠慮なさらないで。では」
“では”のあとに「ごきげんよう」と言葉が続きそうなくらいに品の良い笑顔を見せて、ひとりで帰っていってしまうやまぶきさん。