恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
さっき「ヤキモチやいてるだけなんじゃないの?」なんて言った自分が、なんだかすごく恥ずかしく思えた。


占いの館の“恋する占い師”が「好きなヒトの恋人より妹になりたい」って言ったのは、恋人同士以上の深いココロのつながりが欲しいっていう意味だったんだと思う。

おにーちゃんはあたしのことを実の妹のように大切にしてくれるけど、いうまでもなくふたりの間には、遺伝子的なつながりもなければ、法律的な血縁関係もない。

それでもずっと昔からホンモノの家族同然の、立派な運命共同体だったと思う。

だから、たとえどれだけケンカをしようが、ゼッタイそれっきりにはならないんだ。


「大丈夫だよ……あたし、紫苑さんと幸せな家族を作るから……だから赤井氏もやまぶきさんと幸せな家族を作ってよ……」

「あぁ。じゃあ、約束だ」

立ち止まるおにーちゃん。

「約束?」

あたしも立ち止まる。

「オレとピンクは結婚できなかった許婚同士だが、お互いそれぞれに幸せな家族を作ろうぜ。なっ、約束だ」

ニコニコしながら、顔の前でヒョイと右手の小指と立てるおにーちゃん。
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