恋ジグザグ～“好き”と素直に言えなくて～

「いま浅草の警察署の紫苑くんから連絡もらったばかりなんだけど……英雄くん、傷害事件の被疑者としてケーサツに身柄を拘束されて取り調べを受けてるんだって」

「ひ、被疑者!?」


そーいえば今朝の仕事前、紫苑さんは急用で出掛けてるとか言って、代わりにチーフのヒトが朝のミーティングをしたんだけど。

紫苑さん、あのときすでにケーサツに向かってたんだ。


「もしかしたら、あたしたちのところにもケーサツのヒトがくるかもしれないよ。だって、あたしたち、事件当時、現場に居合わせた目撃者だから」



“被疑者”だとか“目撃者”だとか、そんなのは映画やドラマの中だけに出てくる言葉だと思ってた。

だけど、実際、白鳥さんの予想どおり、その後、本当にケーサツのヒトがやってきて、ああたしや黄ぃちゃんをはじめとする昨夜の送別会に出席した全員が話を聞かれたみたいだった。

きっとやまぶきさんやお寿司屋さんの大将のところにもケーサツのヒトが行ってるんだろうと思う。



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