恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
いくら女のコたちにチヤホヤされてるからって、ちょっとニヤニヤしすぎじゃない?
目尻はだらしなく垂れ下がってるし、口元だって締まりがなくなってる。
5メートル……、
4メートル……、
3メートル……。
あたしとおにーちゃんの距離がだんだん、だんだん近づいてくる。
2メートル……、
「よぉ、ピンク♪」
ようやく、あたしの存在に気づいたおにーちゃんがニヤけ顔で言う。
1メートル……、
0メートル、あたしはすれ違いざま……、
「どちら様ですか?」
……とだけ言って、そのまま前を向いて歩き続けた。