恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
たしかにおにーちゃんは“超”がつくほど気が短くて、キレると、なにをやらかすか分からないような一面もあるけど。
でも小っちゃい頃から、「女のコをいじめるヤツは、ボクがゼッタイに許さないっ!」っていつも言ってたし、ルール違反の行為を自分でするはずがない。
少なくとも女のコに手をあげるなんてこと、ゼッタイにあり得ない。
「婚約を解消するっていうのは、あくまで大将の意見ですよね? やまぶきさんはそれでいいんですか? 今回の縁談を全部なかったことにしてもいいんですか?」
「わたし……わたし怖いんです……暴力ふるうヒトって……」
婚約解消は大将の独断ではなく、やまぶきさん本人の意見でもあるってことか……。
お嬢さま育ちの彼女が、昨夜のおにーちゃんの暴挙を見てビビッたのも無理ないとは思うけど……。
「このあと、彼のご両親にも正式にお話をするつもりです……」
「もうそこまで話は進んでるんですか……」
「ごめんなさい……おチカラになれなくて……今こちらも取り込んでいますので、これで失礼します」