恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「なんですか、騒々しいっ」
いかにも頭がよさそうな顔をした、だけど年増の秘書風の女のヒトが声を荒げる。
そして部屋の一番奥にある豪華なつくりの椅子に身を沈め、ひと目で高級品だと分かるスーツに身を包んだロマンスグレーの紳士が、タバコを吸いながらメガネの下から怪訝そうな目であたしを見つめている。
「も、申し訳ございませんっ。この方がどうしても社長に会いたいと申されましてっ。わたくし、必死でお止めしようとしたのですがっ……」
髪を振り乱して弁解する受付嬢。クビにされたらたいへんだとでも思ってるんだろう。
「社長さんっ……いや、紫苑さんのお父さん、あなたにお願いがありますっ」
あたしはカフェで働くタダのバイトのひとり。社長に会うのはモチロン、顔を見るのも今回がはじめてだった。
「その制服はウチのカフェの制服だね?」
紫苑さんの父親=社長がクチを開く。
「はい。あたし、紫苑さんの……紫苑光一さんの元でバイトさせてもらっている沢尻桃香っていいます」
「社長、今日は午前中警察に行かれていたせいで、予定が午後にかなりずれ込んでいます。そのような一介のアルバイト店員などと話をされる時間的余裕はありません」
秘書風の女のヒトの厳しい言葉。
いかにも頭がよさそうな顔をした、だけど年増の秘書風の女のヒトが声を荒げる。
そして部屋の一番奥にある豪華なつくりの椅子に身を沈め、ひと目で高級品だと分かるスーツに身を包んだロマンスグレーの紳士が、タバコを吸いながらメガネの下から怪訝そうな目であたしを見つめている。
「も、申し訳ございませんっ。この方がどうしても社長に会いたいと申されましてっ。わたくし、必死でお止めしようとしたのですがっ……」
髪を振り乱して弁解する受付嬢。クビにされたらたいへんだとでも思ってるんだろう。
「社長さんっ……いや、紫苑さんのお父さん、あなたにお願いがありますっ」
あたしはカフェで働くタダのバイトのひとり。社長に会うのはモチロン、顔を見るのも今回がはじめてだった。
「その制服はウチのカフェの制服だね?」
紫苑さんの父親=社長がクチを開く。
「はい。あたし、紫苑さんの……紫苑光一さんの元でバイトさせてもらっている沢尻桃香っていいます」
「社長、今日は午前中警察に行かれていたせいで、予定が午後にかなりずれ込んでいます。そのような一介のアルバイト店員などと話をされる時間的余裕はありません」
秘書風の女のヒトの厳しい言葉。