恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「“一生雨がやまなくても、二度と朝がこなくてもヘーキだけど、おにーちゃんがいないとダメなんです”って言ったじゃん?」

「…!!!」


とたんにカァーッと顔じゅうが熱くなった。

さっきはなんとかおにーちゃんのこと、許してもらおうと思って、必死でついあんなことを口走っちゃったりしたけど、いま冷静になって思い返してみると、なんて恥ずかしいことを言ってたんだろうと思う。

それこそ、顔から火が出そうな勢いだった。


でも、もし素直な気持ちで、さっきの言葉を面と向かっておにーちゃんに言っちゃえば、あたしの想いは届くのかな?

なァ~んて。

あんなの恥ずかしくて、もう二度と言えないよぅ(汗)


その後、あらためておにーちゃんのことを許してもらったお礼を言い、そして、アポなしで部屋に乱入したことの無礼を社長にお詫びしたあたしは、一度カフェに戻って私服に着替えると、紫苑さんの運転するクルマの助手席に乗って、一路おにーちゃんが捕まっている浅草の警察署に向かった。

あいかわらず雨はまだ激しく降っている。

できるなら、浅草に付く頃にはやんでたらいいのにな、と思うあたしだった―――――
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