恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
Last Act 「スタート」
クルマが浅草に付く頃には、雨もすっかり上がっていた。


よほど取り調べが辛かったのか、足取りも重く、疲れ果てたような顔で警察署の建物から出てくるおにーちゃん。



「おにーちゃん!」



その胸の中へと飛び込んでいくあたし。


「ぴ、ピンクっ……」


ひどく驚いた様子で……だけど、がしっとあたしを受け止めてくれたおにーちゃん。


「おにーちゃんの……おにーちゃんの匂いがするよ……」


「そっか。汗臭いだろ? 取調べのあいだ、一度も着替えしてねぇからな」


「そんなことないよ……あたし、おにーちゃんの匂いがするとすごく落ち着く……だからお願い」


「ん?」


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