恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
抱き締める両手に、さらにチカラが入る。
「い、痛いよ、おにーちゃん……」
「つ、ついチカラが入っちまった……」
「ダメだよ、おにーちゃん。女のコのカラダはもっと大切に扱ってくれなきゃ」
「ご、ゴメンな、ピンク」
至近距離に見えるおにーちゃんの顔が、見ているコッチが恥ずかしくなるくらいに真っ赤だった。
たぶんソレが伝染って、あたしの顔も真っ赤になってるんじゃないかと思う。
「いいよ。ねぇ、それよりアレ見て」
あたしが指差した空の方向には、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の虹の七色のアーチが浮かんで見えていた。
「きれい……」
「ホントだな。今日はさんざんな目に遭った一日だったが、それでも最後の最後で、こんなエンディングを迎えることができれば、全部チャラになるってぇもんだ」