恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
その言葉にカチンとくるあたし。
「もォ! せっかく迎えに来てあげたのに、なによっ! 赤井氏なんか、やっぱムショ送りになればよかったんだよっ!」
あっちゃあ~っ……、
こんなこと言うつもりなかったのに、会った途端にすぐコレだ。
あたしはさっきクルマの中で見た夢とのあまりのギャップの激しさに、ヤッパ現実は甘くないよなと思い知らされたた。
「バイバイッ」
クルリと踵を返して、いま来た道を戻っていくあたし。
すると、バシャバシャと水溜りを蹴散らしながら追いかけてきて、ズカズカとあたしの傘の中に入り込んでしまうおにーちゃん。
「まぁまぁ、そう怒りなさんなって。わざわざ迎えに来てくれたのに、せっかくの好意を無にするわけにもいかんだろーが」
その瞬間……、
あたしとおにーちゃんは“相合い傘”になってしまった。