恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
慌てて胸元を隠すあたし。

傘をさしていたとはいえ、狭い相合い傘の下ではまともに雨を逃れることもできなくて、カラダの半分以上がビショ濡れ状態だった。

そして胸元には、濡れたTシャツが肌にベッタリと貼りついて、ほとんどスケスケのシースルー状態で、下着がクッキリと浮かび上がっていたんだ。


「いや、頭ではな、“妹分のピンクの下着なんか見るもんじゃねぇぞ”って自分に言い聞かせてるんだが、目が勝手にどうしてもソッチに向いちまってよぅ」

「ソレって、あたしにオンナを感じてるってことだよね?」

「そ、そんなことあるもんかよっ。年上相手にからかうもんじゃねぇや」


クチではそう言ってるけど、あからさまに動揺しているのは誰の目にも明らかだ。


「ウソついても分かるよ」

そう言っておにーちゃんの左胸に右手をあててみると、服の上からでも心臓がドキドキと激しく鼓動してるのがハッキリと分かる。

「ホラ、ウソついてる」

「……ったく自分でも情けねぇと思うぜ。さっき婚約解消されたばかりだっていうのによぉ、他のオンナに……それもこともあろうにピンクに目がいっちまうなんてな」
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