恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

「たぶんソレって、自分では意識してないんだけど、ココロが“淋しいよ”って言ってるからだと思う。淋しいから無意識に誰かを求めてしまうんだと思う」

「オレのココロが淋しがってる、っていうのか?」

「もっと自分に素直になったほうがいいよ。こーなったら、しゃーない。赤井氏、婚約解消されてかわいそうだから、なんならあたしがカノジョになってあげよっか?」


ヒトには“もっと素直に”なんて言ってるくせして、素直じゃないのはあたしのほうだ。


「だから年上をからかうな、って……」

「あのさ、さっきから年上、年上って、先に生まれたのがそんなにエライこと?!」

おにーちゃんが言おうとしてるのを、さえぎって言うあたし。

そして右手はおにーちゃんの左胸にあてたまま、空いてるほうの左手でおにーちゃんの右手をつかんで、あたしの左の肩甲骨のあたりにあてがわせる。


「お、オイ、ピンク、なんのつもりだっ?!」


オロオロするというのは、こーいう感じをいうんだと思う。


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