恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
気がつくと、雨がだいぶん小降りになっていた。
「今のうちに帰ろーぜ、ピンク」
あたしはコクンとうなずくと、再び相合い傘でおにーちゃんと夜道を歩きはじめた。
左胸のドキドキがまだおさまらない。
おにーちゃんの左胸のドキドキはもうおさまったのかな?
「あ、あのさぁ……」
おもむろにクチを開くあたし。
「ン?」
「あんなことがあったばかりだから、なにも今すぐとは言わないけど……でも、ココロの中でやまぶきさんのことがちゃんと整理できたら、そのときは……」
「そのときは……?」
「そのときは許婚のあたしと家族になることを……もう一度考え直してみてほしいんだ」
「けど、お前は紫苑のことが」
当然の発言だった。