恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

「好きなヒトにフラれたばかりの赤井氏に、こんなこと言うのって……まるで “愛ならあげるよ”って相手の目の前に愛をチラつかせてるみたいで、すごく卑怯なことだって、自分でも分かってるけど……だけど、もうあたし、これ以上ウソはつきたくないよ……」


そしてあたしはウソじゃない、本当のキモチをおにーちゃんに伝えた……、



「ハッキリ言うね、……あたし、おにーちゃんのことが好き。大好きだよ。ずっとずうっと好きだったんだ」



……って。


「ピンク……」

“思わず”って感じで立ち止まったおにーちゃんが、斜め上からあたしを見つめる。

「これがあたしの素直なキモチだから……」

立ち止まったあたしは斜め下から、上目遣いでおにーちゃんを見つめる。

にじんでよく見えないおにーちゃんの顔。

けどソレは雨のせいじゃない。

ちゃんと傘の中に入っていたから、目に雨が入るなんてことがあるわけない。

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