恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
チュッ



……と、あたしにキスをするおにーちゃん。

そして次の瞬間もうすでに、おにーちゃんの唇はあたしの唇から離れてしまっていた。

目にもとまらない早さの音速キッスだった。



「え……?!」



全てはほんの一瞬の出来事だった。

まばたきする間の一瞬の出来事で、本当にいまキスをされたのかな、って疑いたくなるほど実感がなかった。


「お、おにーちゃんっ……キスするならキスするってちゃんと言ってよっ、あたしにもココロの準備ってものがあるんだからっ」

「タ~コ、今のはただのマーキングだ。ホントのキスをして欲しかったら、他のオトコなんかにフラフラしねぇで、ちゃんとまっすぐオレに向き合え、ってんだ」

「ケチ!」

「ケチでけっこう♪」

「そんなこと言って、ソッチはどーなの?」

「え?」
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