恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

ジグザグしないで、素直にまっすぐ進んでたら、もっと早く追いつけてたのかもしれないけど……。

でもね、ジグザグしていろんなモノを見て、その瞬間その瞬間にいろんなことを感じてきたから、だから今のあたしがいるんだよ。


これからもきっとジグザグすると思う。

もしもイケナイ方向に行きそうになったときは……そのときはおにーちゃん、あたしをつかまえてね、ギュウっと強く。

そしてあたしを離さないでね。


「これからはもう、あたしのほうだけを見てて。もし、すれ違うミニスカのコなんかに目を奪われたら、そのときは“コレ”だからね」

そう言って、おにーちゃんのほっぺたに軽くグーのパンチを押し当てるあたし。

「あたしの“怒りの鉄拳”で、おにーちゃんの目を覚ましてあげるから♪」

「てやんでぃ。お前のほうこそ、ほかの男にフラフラすんじゃねぇぞ」

「あたしは大丈夫だよ。心配なのはおにーちゃんのほうだよ」

「お前のほうが心配だってぇのっ」

「おにーちゃんのほうっ」

「お前だっ」
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