恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
小さい頃、デパートで自分の親だと思ってついていったら、実は全然別のヒトだった、っていう経験が誰にも一度はあると思う。
いまのあたしの心境を例えるなら、ちょうどあーいう感じだと思う。
本当ならまっすぐ向かって進んでいくべきおにーちゃんのココロが他の女(ヒト)のモノになってしまって、どこに行ったらいいのか分からなくなったあたしだったからこそ、おにーちゃんと同じ匂いがする相墨くんにまちがってついていってしまったんだと思う。
あたし、バカなことしちゃったのかも……。
好きになっちゃいけないヒトを好きになったこと。
そして志望校でもない工業高校に進学しちゃったこと。
もしかしてサイアクの選択肢を選んでしまったんじゃないかと思えてならない。
碧といっしょに進学校に行ってたら、今とは違う人生を歩んでいたかも……、
もしかして、あたしって、たった一度の恋のせいで、まだこれから続いていく長い長い人生を全部台無しにしてしまったのかも……、
そう思うと、止めようもないくらいに涙がどんどんあふれ出てくる。