恋ジグザグ～“好き”と素直に言えなくて～

ホントは声に出して、そう訊きたかった。

だけど真実を知るのが怖いと思ってるあたしもいて、とりあえずそのことには触れないでいようとあたしは思った。


「そっか……あたし、眠れなくて……よかったら、このまま少しお話してもいい……？」


「そいつはかまわねぇけど……“もうダメ”ってなにがあった？」


「………」


ホントは誰かに聞いてほしかった。

だけど、いざ聞いてもらえる状態になると、とたんにクチが重くなる。


「言いたくなければ無理に言うことねぇさ。なんかほかの話でもするか？」


「あ、あのさ……なんてゆーか……あたし……あたしね、進むべき道をまちがえて……なんか迷子になっちゃったみたい……」


「進路のことか？　でも進学校に行ったら行ったで、“あのとき工業に行ってたら……”って、きっと今ごろ悩んでたと思うぜ」

おにーちゃんはビミョ～に意味をはきちがえていた。